福井県鯖江市の医療法人ポプラ歯科医院  予防を重視し、患者さんにあわせた治療を心がけています。 

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フッ化物の歯科応用について

昔は「フッ素に頼るなんて邪道だ!」なんて言われるくらい、フッ化物の応用によるむし歯予防はズル的な扱いでした。時代は変わり、今ではWHOでも厚生労働省でも、
「むし歯予防」「歯磨き」ではなく、
「歯磨き」「フッ化物応用」という時代になっています。

歴代の歯科医師の活動や学校の養護教諭の先生方のご活躍により、歯を磨く習慣も当たり前になり、市販の9割の歯磨き粉にはフッ化物が入っており、むし歯予防の意識は年々高まっています。今ではだいぶむし歯の罹患率は減りました。しかも、むし歯があるといっても1,2本小さなむし歯があるくらいです。ましてや、むし歯がいっぱいあったら虐待の疑いで通報しなければいけないような時代です。
また、フッ化物の応用は子どもにだけではありません。高齢者の根面う蝕(根のむし歯)、隣接面う蝕(歯と歯の間)にも効果的なので積極的に応用しましょうということになっています。

そもそもフッ素とは?

そもそもフッ素は自然の中に広く分布している元素の一つです。また人体を構成する元素の比率では鉄(Fe)に次いで13番目に多い元素です。さらにWHO等では、必須栄養素であるとされています。


フッ素って体に悪いの!?

フッ化物とはフッ素が元素単体では存在できず、何かと結合したものになります。
それが炭素系であれば有機フッ素非金属や金属であれば無機フッ素になります。
ここでややこしいのが、わが国では「化学命名法」によって、
「フッ素」=元素名と有機フッ素
「フッ化物」=無機フッ素
というように用いることになっています。
無機フッ素は、歯のエナメル質を強化し、むし歯を予防する効果があるとされ、歯磨き粉や洗口剤に添加されています。歯科で用いられてるフッ化物はこちらになります。

フッ化物応用で問題になるのが、「フッ素って毒にもなるんでしょ?」といった情報です。確かにこの命名法からすると、「フッ素=有機フッ素」なので、「フッ素=人体に悪い」は間違ってもいません。これがややこしいところです。また歯科医院で「フッ化物塗布」をしているんですが、昔のなごりで「フッ素塗布」と言ったりしてしまうので、それもややこしいところです。

そもそもなんでも使用法や量を間違えると薬でも毒になりますが、その他にも間違った情報も流れているようです。
たまにYouTubeやSNSでも見かけたのですが、
・歯が溶けるんでしょ? → それはフッ酸のことでは?
・歯が黒くなった。 → フッ化ジアンミン銀のことでは?
・発がん性があるんでしょ? → それはPFAS(ピーファス)「有機フッ素化合物」のことでは?
といったように、むし歯予防に使うフッ化物ではない話をしている方が多いようです。

他で例えると、例えば、同じ塩素(化学記号Cl)でも、有機塩素化合物であるクロロホルム(CHCl3)等のトリハロメタンは、肝臓障害、腎臓障害、催奇形性、発ガン性を有しますが、一方、ナトリウムと結合した無機塩素化合物である食塩(NaCl)は、日常、食卓で使用する人体に不可欠な物です。

これらのことより、水質汚染の「有機フッ素化合物」とフッ化物洗口の「無機フッ素化合物」とは全然違いますので、むし歯予防のためにフッ化物洗口やフッ化物歯面塗布は問題はないんです!!

とは言っても、食塩も摂りすぎると高血圧症などの原因になります。歯科で使用するフッ素も同様に取り過ぎると中毒を起こします。

何事も適正な量を守って使用することが大切です!


フッ素の中毒について

適量を間違うと中毒症状を起こします。

急性中毒※
 (1)悪心・嘔吐発現フッ化物イオン量(最小中毒量)
    フッ化ナトリウム(NaF)として4r/s(体重)
  (2)見込み中毒(おそらく中毒を起こすであろう量)
    NaFとして11r/s
  (3)致死量
    NaFとして71〜143r/s

フッ化物洗口の量で換算すれば、16人分の量を一気に飲めば、悪心・嘔吐が発現し、その3倍くらい(1.5クラス分)を一気飲みすれば、中毒症状が発現するでしょう。
その7倍(2.3学年分)(3ℓ)を一気飲みしなければ致死量にはなりません。
なのでよっぽどのことがない限り、中毒症状は現れません。
上のお塩の例えで言うと、醬油も3ℓもがぶ飲みしたら、吐いたり、死んでしまうかもしれませんよね。
何事も適量が大切です。

慢性中毒※
 ある濃度以上のフッ化物を長期にわたって過剰摂取した場合に生じます。
 2㏙以上のフッ化物で歯のフッ素症(斑状歯)
 8㏙以上のフッ化物で骨硬化症や骨多孔症
 50㏙以上のフッ化物で甲状腺に変化
 125㏙以上のフッ化物で腎障害

であるが、骨のフッ素症では8㏙以上の飲料水を20年以上飲み続けた場合に生じる症状であるので、フッ化物洗口のような微量な口腔内残留量の局所応用では発現することはない。

※歯科予防処置論・歯科保健指導論 医歯薬出版株式会社 より


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